さらに西岸の旅は続きます!
貴族の墓
貴族の墓は、広い範囲に点在しているお墓の総称です。
王族ではなく、エジプトの貴族と言ってもピンとこないですよね。
書記官、大臣、そして地位の高い軍人のお墓などがあります。
お墓の内部では、保存状態の良い、美しい壁画が見られます。
墓地には、お墓の番人がいます。
内部が暗くて壁画が見づらいときに、番人が2枚の鏡で内部に光を採り入れて、壁画を見やすくしてくれます。
子どもは容赦してくれない!
貴族の墓を歩き回っていると、その奥の民家から10代の2人の少年が出てきました。
何やらアラビア語でこちらに何か言ってきます。
私がキョトンとしていると、2人の少年が石を拾って、こちらに投げてきました。
投石です。
本気で私にぶつけようと狙っています。
何度も投げてくるので、貴族の墓の見学は終了しました。
旅をしていると、投石の被害に遭うことが時々あります。
ハトシェプスト女王葬祭殿
ファラオ史上初のエジプトを統治した女王であるハトシェプスト女王によって建造されました。
夫はトトメス2世です。
トトメス2世が亡くなった後、子のトトメス3世がファラオになりました。
しかし、トトメス3世は幼かったため、ハトシェプストは摂政として我が子を支えました。
ただ、その後ハトシェプスト自身がファラオになりました。
葬祭殿は、二階構造になっています。
正面から見ると、横に長く、上下階共に長い柱廊に惹かれます。
さらに、大きなスロープが正面中央から2階へと訪問者をいざないます。
私はこの建物のデザインが好きで、ルクソールの中ではハトシェプスト女王葬祭殿に一番行きたいと思っていました。
2階の奥にはオシリス神像が並んでいるのですが、ハトシェプスト女王の顔をしています。
神像を自分の顔にしてしまうというのは、日本人にはない発想ですね。
葬祭殿の奥は、それほど見るものがないため、意外とあっさりと見学が終わってしまいます。
王家の谷
言わずと知れた名所です。
新王国時代の歴代のファラオがここに眠っています。
では、なぜ新王国時代のファラオのお墓ばかりなのでしょうか。
「5分で分かる古代エジプトの歴史」へ(お墓の歴史が分かります)
岩を掘った岩窟には、前室、宝物室、副室、そして玄室など複数の部屋があります。
玄室には、石棺が置かれていて、その中に、ミイラとなった遺体が安置されています。
お墓に入る時には、階段を下りていきます。
数ある有名なお墓の中でも、ツタンカーメンのお墓には実際にミイラが安置されているため、訪れる人が多いです。
ツタンカーメンの呪いとまでは言いませんが・・・・・・。
さて、体調の大変悪かった私が、王家の谷を歩くのは極めて大変なことでした。
50度を超す猛暑の中、途中で歩けなくなっても王家の谷では往復で1km以上歩きます。
他に歩いている人など誰もいません。
途中で30分ほど休憩して、ようやく辿り着いたツタンカーメンの墓。
階段を下りて、墓内部に入ろうとすると、番人が一言。
「チケット見せて」
なんとツタンカーメンの墓など、一部の墓は特別なチケットを購入しなければならないのです。
ガイドブックのない私は、それを知りませんでした。
『チケットはどこで買えますか?』
「ビジターセンターのほうだよ」
『な、何ですって?……』
今まで歩いてきた道のりを一度戻らなければいけないなんて……。
しかも、さらにここに戻って来るなんて絶対に自分には無理……。
悲しいことに、日本からわざわざルクソールまで来て、ツタンカーメンのお墓に入れなかったのでした。
その後、いくつかのお墓の内部を見ました。
王家の谷の墓内部を撮影することはできません。
ラメセウム
ラメセス2世の葬祭殿です。
ラメセス2世のオシリス柱が入口に4本立っています。
見ごたえがあります。
セティ1世葬祭殿
セティ1世が建設しようとしましたが、完成させたのは息子のラメセス2世です。
ラメセウムと比べて、保存が良くなく、至聖所しか残っていません。
ただ、列柱のレリーフの保存状態は大変良いので、訪れてみましょう。
信頼できる人には何度もお願いしよう
いろいろな遺跡を回る間におじいちゃん運転手がいなくなってしまわないか心配しましたが、おじいちゃんはずっと待ってくれていました。
特に王家の谷では、私は1時間以上見学していましたが、他の運転手と雑談しながら入口で待ってくれていました。
このおじいちゃんは信頼できる方だと、私は思いました。
私は翌日の朝8時35分のアスワン行きの飛行機に乗る予定でした。
逆算すると、遅くとも朝6時にはタクシーでルクソールの町から空港に向かいたいところです。
しかし、そんな朝早くにタクシーを見つけられるでしょうか。
日本では流しのタクシーが24時間走っていますが、海外では流しのタクシーがまったく走っていない地域もあります。
そこで、このおじいちゃん運転手のタクシーを降りる時に、『翌朝6時に私は空港に行きたいのですが、ここに来てもらえませんか』と聞いてみました。
早朝の予約であること、そして今日の1日チャーターではお世話になったことを踏まえて、支払う料金はあらかじめ少し多めに伝えました。
朝6時に本当に来てくれるか心配していましたが、翌朝待ち合わせ場所に行くと、約束の時間ちょうどにおじいちゃんがタクシーに乗って、迎えに来てくれました。
このおじいちゃんのおかげで、安心して次の目的に向かうことができました。
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