イグアスの滝があるブラジルの町フォズ・ド・イグアスは、パラグアイとの国境に面しています。
夜8時に思い立って、パラグアイにちょっと行ってみることにしました。
町の人たちに地図を書いてもらい、いざパラグアイへ
かなり酔っ払っている人たちに地図を書いてもらっている時、「今からパラグアイに行くのかい?」と驚かれました。
地図を頼りに進んでいくと、街灯のない暗いエリアへと入ってきました。
その先は漆黒の闇です。
光が1つもない、1m先も見えない暗闇です。
それでも、地図の通りに進もうとしたら、どこからともなく急発進したような車の音が鳴り響き始めました。
どこでその音が鳴っているのか、見当もつきません。
暗闇と大音響に心臓がバクバクしてきます。
すると、後方からライトを点けていない1台の車が猛スピードでこちらに向かって来ます!
暗くてよく見えませんが、とっさに道路脇に逃げると、そのまま車はスピードを落とさず走り去って行きました。
あとで分かったのですが、若者たちがスリルを求めてライトを点けずに暗い道を猛スピードで走り回っていたようです。
ようやく暗闇を抜け出し、住宅街に入ってきました。
日本のように明るく安全な住宅街というわけではありませんが、さっきに比べれば十分に見えています。
「ここは歩きやすい」と思っていると、大型犬の野太い鳴き声が聞こえてきました。
その鳴き声からして、かなり凶暴そうな犬です。
それから、その犬を見つけました。
案の定見るからに凶暴そうです。
憎しみをもって私を見ています。
しかし、その犬は、ある民家の鉄製の門の中にいます。
「犬は門の内側にいるんだ。よかったあ」と胸をなで下ろしました。
しかし、その犬は柵をすり抜けて、外へ走り出てきたのです!
「なぜだぁぁぁ!」
すぐに私は逃げ出したのですが、犬は追いかけてきます。
カメラの三脚を振り回したり、大声を出したりして追い払おうとしましたが、犬はひるみません。
狂犬病は世界一怖い病気
そんなに犬を怖がらなくても……と思った方もいるかもしれません。
しかし、怖がるだけの理由があるのです。
海外では、狂犬病の予防接種を受けていない犬がたくさんいるそうです。
狂犬病は、他の感染症よりもずっと危険で、致死率100%と言われている病気です。
病気にかかれば、必ず死亡してしまうのです。
致死率が最も高い病気です。
そのため、必死に逃げました。
その住宅街から離れたら、犬もそれ以上追いかけては来ませんでした。
しかし、その後のエリアは、オレンジ色の薄暗い街灯が怪しさを醸し出しているところです。
通りでふらついている男達が、近づいて話しかけてくるのですが、ろれつが回っていません。
なので、何を言っているのか分かりません。
それでも、どんどん話し掛けてきます。
危ない目に遭う前に、私はその場を離れました。
ようやくブラジルの国境に着くと、そこで再び別の犬に追いかけられました。
国境を走り回っていると、出国審査の係官に助けられ、難を逃れました。
パラグアイの基本情報
正式国名 パラグアイ共和国
首都 アスンシオン
言語 スペイン語、グアラニー語
通貨 グアラニー
プラグ A、Cタイプ
ビザ 3ヶ月以内ならば不要
ブラジルからパラグアイへは「友情の橋」と呼ばれる大きな橋を渡ります。
橋を渡り切ると、ようやくパラグアイの国境です。
シウダー・デル・エステ
入国すると、そこはシウダー・デル・エステという町です。
ちなみに、シウダー・デル・エステは見どころがありません。
さて、すでに夜の遅い時間帯です。
お店はすでにどこも閉まっていましたが、ある食堂だけは営業していました。
食堂と言っても薄暗く、5人程度のお客さんは外の簡易テーブルで食べています。
それから先に進むと、噴水もある大通りが走っています。
再びストリートチルドレンが……
静かな町に大きな声が聞こえてきます。
どうも若い少年たちの声です。
その声のほうへ近づいて行くと、噴水で水浴びしているストリートチルドレンの姿を発見。
10名程度のストリートチルドレンに見つかったら、お金やカメラなどをすべて失ってしまうと判断した私は、先に進むのを諦めて、ブラジルに戻ることにしました。
これほど1カ国の滞在時間が短かったことは他にないのですが、安全を第一にすることにしました。
ストリートチルドレンだけでなく、シウダー・デル・エステは夜間に麻薬や密輸などの犯罪事件も発生しているので気をつけましょう。
行きと同じく、帰りのブラジル側も色々と危険でしたが、フォズ・ド・イグアスの中心まで戻り、見つけたホテルで宿泊することができました。
ここの国境を越える時は、夜間は避けましょう。
昼間ならずっと安全だと思います。