コンゴへの道のりは険しい!?
出発から7時間後、私以外すべての乗客が降りて行きました。
すでに、午前1時を過ぎています。
コンゴ国境のBweraに行くと嘘をついた車掌は、私が降りない理由を理解したようです。
私が『コンゴ国境のBweraに行きたいから連れて行ってくれ』と伝えると、車掌は謝るわけでもなく「明日俺のところに来たら、Bweraに行けるから大丈夫」と反省のない様子。
『それなら、まずは今日泊まれる所に連れて行ってくれ』と要求を変えました。
しかし、運転手と車掌はバスから降りて、食事に行ってしまいました。
こんな夜中に宿を一人で探すことはできません。
『バスの中で待っていれば、必ず運転手たちは戻ってくるはず』
私はバスの中で30分以上待ち、彼らが戻ってくるのを待ちました。
そして、彼らがバスに戻ってきた後、バスは宿に向かいました。
宿がとってもアフリカン
夜中の2時にロッジに着きました。
寝起きのロッジの主人が出て来ました。
ベッド以外何もない簡素な部屋を見せてもらい、「トイレ、お風呂付き」と言われ、このロッジに泊まることにしました。
日本円に換算すると600円ほどの宿代を払いました。
さて、お金を払って、部屋に行きました。
『あれ……』
ロッジの主人に聞きました。
『お風呂はどこにあるのですか?』
「それだよ」
主人が指さす方向に、私は顔を向けながら、そのわずかな瞬間で『あれ……部屋の中で指をさしているけど、部屋の中にはないはず……』と思うのでした。
そして、私の目がそのお風呂を確認しました。
『こ、これですか!?』
桶と3リットル入りのポリタンク……。
部屋の右隅に写っています。
これをお風呂と言うのでしょうか……。
床が濡れることをいとわない、大胆な入浴システムです。
『これがアフリカなのか……』
先制パンチを浴びせられた気分です。
しかし、気を取り直して、トイレの場所を聞いてみました。
すると、今度は外に連れて行かれました。
深夜の暗闇の中に、真っ暗なトイレの小屋がかすかに見えてきました。
トイレはボロボロの木造の小屋で、鍵は閉まらず、室内灯がありません。
夜中に初めて見たトイレは、扉を開けても室内は漆黒の闇が広がっていて、中がどうなっているのか分かりませんでした。
不審者の恐怖、暗闇、不衛生、危険……アフリカは、トイレでさえ容赦してくれません……
羽田を出発して37時間後、旅の1日目が終わりました。
いまだ自分が地図のどこにいるのかも分からないまま、そしてどの村にいるのかも分からないまま眠ることになりした。
翌朝6時に目が覚めると、すぐに私は今自分が世界地図のどこにいるのか分かっていないことを思い出しました。
アフリカは、ワゴンの乗り合いタクシーがどの町を行き来しているのかなどの交通手段の情報が、ただでさえありません。
そのうえ、自分が地図上のどこにいるのか分かっていないことは自分を不安にさせました。
まだ誰も起きていない様子のロッジを出発して、外に出ました。
この村に着いたのが4時間ほど前ですが、その時は真っ暗で、外の様子がよく分かりませんでした。
しかし、今外に出てみると、車道がかろうじて舗装されていますが、それ以外は地面が土で覆われています。
至るところに、水たまりやゴミがあり、あまり衛生的ではありません。
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その名はアフリカハゲコウ
目を引くのが、ゴミをあさっている鳥です。
日本では見たことのない大きな鳥です。
幼い人間の子どもよりもずっと大きな鳥です。
体長が1・5mもあります。
日本でいえば、カラスのようにあたり前に見られるその鳥の名は、アフリカハゲコウと言います。
なかなか怖そうな鳥ですね。
人相が悪そうな感じです。
バスステーションを探せ!
いまだにこの村の名前さえ知らない私は、とにかくこの村を出て、コンゴの国境まで行こうと思いました。
そのため、まずはこの村のバスステーションに行かなければなりません。
そして、昨日のバスの運転手と車掌を見つけようと考えました。
ウガンダの方々に英語で話しかけるも、バスステーションの場所を教えてくれるだけの英語力がありません。
そこで、私はもう勘で歩き始めるしかないと思いました。
しかし、どちらを見ても見渡す限りバスステーションらしきものが見えません。
そこで、私は目の前の道を通る車の往来に注目しました。
大型のバスがどちらに向かっているのか知りたかったのです。
早朝なので、大型バスはお客を乗せるために、まずはバスステーションに向かうだろうと決め込んだのです。
しかし、間違って逆方向に歩いてしまうと、大きな時間のロスになるので、30分くらいは情報収集のため、慎重に観察していました。
それから、意を決して左方向に歩き始めました。
何十分も歩き続けた後……ついにバスステーションにたどり着きました!!
たいしたことではないのですが、一人で旅をしていると、こんな些細なことでとても嬉しくなります。
一人旅で一番大変なことは、「次の目的地に移動する」ことだからです。
「旅」と「旅行」の違い
これはあくまで私の感覚なので、辞書に載っている意味とは違うと思いますが……
「旅」と「旅行」の意味は違うと思っています。
「旅」は「自力で目的地まで移動すること」に重きを置いている上で、観光も満喫しているイメージです。
「旅行」は「観光」に重きを置いているので、目的地への移動についてはこだわりが少ない印象です。
そのため、添乗員・運転手付きのバスが観光地を案内してくれるツアーは、「旅」ではなく、「旅行」であるように思います。
逃がしてならない相手
さて、バスステーションに着いたので、今度はあの運転手と車掌探しです。
そもそもこのステーションにあの二人がいるのかも分からないし、こんな早朝にいるのかも分かりません。
しかし、5分ほどで車掌はすぐに見つかりました。
私が話し掛けると、車掌は動揺している様子です。
執念深さに驚いたのでしょうね。
『約束通りBweraもしくはカセセに行けるようにしてください』と言うと、あきれ顔で「自分達はどちらにも行かない。これからカンパラに戻るんだ」と言います。
ずるい人たちは、よく分からないところであきれてみせます。
なかなか手ごわいです。
『それなら、Bweraもしくはカセセ行きのバスか乗り合いタクシーに案内してください』と言うと、仕方なさそうにカセセ行きの乗り合いタクシーの前へ連れて行ってくれました。
すると、車掌はすぐに立ち去ろうとします。
そこで、私は彼を呼び止めて『乗り合いタクシーの乗車代は、あなたが払ってください。昨日、私はあなたにカセセまでの料金を払いましたので』
ここでは、だいぶ会話を省略していますが、実際には粘り強く説得しました。
根負けした車掌は、乗り合いタクシーの運転手に私の分の乗車代を払いました。
海外では、問題を解決するために粘り強く説得しなければいけないことがよくあります。
色々苦労したことを察した乗り合いタクシーの運転手は、私に親切にしてくれました。
そして、私は昨夜からムバララという村にいたことが分かりました。
カセセとは200kmも離れていました……。
停車時間の長い乗り合いタクシー
乗り合いタクシーではどこかの村に着くたびに、お客の乗り降りがあります。
その際には、ワゴンの周囲にその村で商売をする村人が集まってきます。
飲み物や果物を販売する人が多いです。
ワゴンを囲んでいるため、運転手もなかなか出発できません。
あまりにも出発できないと業を煮やして、運転手がクラクションを鳴らし、アクセルを吹かします。
牛肉の串焼き
ある村に着いた時、汚れた窓ガラスの向こう側に肉屋さんがありました。
アフリカの肉屋さんは、天井から牛を吊るしていて、すでに肉をそぎ取られています。
骨と肉がむき出しになっていますので、少しゾッとします。
外は暑い上に、ハエが牛肉の周囲を飛び回っているので、衛生面はやや心配です。
と言いつつ、牛肉の串焼きを売りに来たので、買ってみました。
肉質はやや硬めですが、その分旨味があり、おいしかったです。
もう2本くらい買っておけばよかったです。
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